ミュージアム・コミュニケーション・チャンネル・プロジェクト(MCCP)は、慶應義塾大学DMC機構が独自の動画配信プラットフォーム"VOLUMEONE"を使って、美術館・博物館、水族館、動物園、植物園などとのコラボレーションを通じ、映像による教育コンテンツを創造、流通させる実証実験です。MCCP for Kids and Teachersは、美術館・博物館、そして"VOLUMEONE"が理想の観客として想定している小学校から高校までのKidsからTeensまでを対象とする、MCCPの姉妹プロジェクトです。
このプロジェクトの第一の目的は、美術館や博物館とのコラボレーションの中で動画配信による教育コンテンツを制作してVOLUMEONE上で配信し、それを小学校から高校までの先生方の指導のもと、生徒諸君に見てもらって、どんなところが面白いか、どういう工夫が必要かといったフィードバックのための議論をしてもらうことです。同時に、映像にもとづいた物語をつくってクリエイティヴ・ライティングの楽しさを経験したり、自分たち自身でも映像作品を作ってみようという気持ちを持ってもらえたら幸いです。
たとえば、自分たちの学校のある町から上野の国立科学博物館への行き方をヴィデオで記録して「道案内」情報として配信したり、その途中にある美味しいケーキ屋さんの紹介なども「科博関連情報」として検索できるようにすれば、次の週末、上野方面へ行こうと考えている人たちの役に立つかも知れません。
MCCP for Kids and Teachersでは、こうした先生と生徒たちの目線による情報と美術館や博物館の情報を結びつけることで、社会教育施設としての美術館・博物館情報の属性(パブリック・ドメイン)について考え、これらを発展させるためにどう市民がかかわることができるのか、実証的に考察してゆきたいと考えています。それが美術館・博物館という社会的文脈の中でのWeb2.0を考えるきっかけになるのではないでしょうか。社会教育施設の情報デザインはもはや一方向の時代ではなく、美術館・博物館は利用者の皆さんの参加を必要としているのです。